タンパク質、ビタミン、色々な栄養素はありますが亜鉛って気にしたことありますか?
栄養素はどれも大切ですが亜鉛もその大切な栄養素であり、必須ミネラルの1つです。
実は亜鉛は身体だけでなく、心にも影響を及ぼす栄養素。
今回は、そんな亜鉛の働きについてみていきましょう。
目次
亜鉛は必須ミネラル
アミノ酸だけでなく、ミネラルにも身体には欠かせない必須ミネラルがあります。
亜鉛はその中の1つで、大人の体内には約2g〜4gの亜鉛があります。
筋肉や骨に多く含まれていますが、皮膚や髪の毛、肝臓、膵臓など様々な場所に亜鉛が存在しています。
また、酵素を作る要素ともなっていて、まさに身体に必須の栄養素です。
亜鉛の働き
では、亜鉛は身体の中でどのような働きをするのでしょうか。
- 身体
- 免疫
- 心
この3つの観点からみていきましょう。
お肌の状態を整える
皮膚のほとんどはコラーゲンでできています。
亜鉛はそのコラーゲン合成に大切な栄養素です。
皮膚はターンオーバーと呼ばれるように、日々生まれ変わっています。
そんな皮膚の代謝に、亜鉛は関わっています。
つまり、肌を美しく保つためにも亜鉛は重要なミネラルとなります。
また、炎症抑制細胞に働きかけ炎症物質を抑えたり、傷の修復にも関わっています。
味覚を正常に保つ
亜鉛が味覚と関係していることは、なんとなく聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
舌の表面には味細胞と呼ばれる細胞があり、そこで食べ物の味を感知しています。
亜鉛には、その味細胞の生まれ変わりを促す働きがあります。
舌の表皮細胞にも亜鉛がたくさん存在していることからも、亜鉛と味覚に重要な関わりがあることがわかりますね。
生殖機能の維持
亜鉛は生殖機能を正常に保つためにも必要なミネラルです。
特に男性にとって重要なミネラルで、精子の形成に関わります。
女性の場合でも、妊娠維持や女性ホルモン分泌を助ける働きがあります。
生殖機能の維持という意味では男性女性ともに重要ですが、特に男性は摂取量を意識したいミネラルです。
とはいえ、不妊治療を目的とした亜鉛のサプリメント補給は効果がないとされています。
亜鉛が不足している場合は少しは効果があるかもしれませんが、まずは男性不妊外来を受診しましょう。
亜鉛が不足していない場合、男性不妊に対して亜鉛サプリを飲んでも効果がないとされています。欠乏している場合は低亜鉛血症治療剤のお薬が処方されるそうですが、まずは男性不妊外来に相談しましょう。
解毒作用
亜鉛には活性酸素を除去する補酵素として働く以外でも、解毒作用としての働きがあります。
- インスリン合成による糖代謝
- アルコールの分解
- 有害金属の排出
このような働きがあります。
環境変化の観点から有害金属の蓄積が懸念される現代において、特に有害金属を排出するキレーションとして注目のミネラルかもしれません。
というのも、有害金属の排出を促すメタロチオネインというタンパク質が働く上で、亜鉛は深く関わっています。
亜鉛が不足することでこれらの解毒作用が弱くなると考えると、積極的に摂取していきたい栄養素ですね。
免疫機能にも必須
皮膚はバイ菌から身体を守る、防御の最前線になります。
皮膚は美しさだけでなく、身体を守る観点からみても非常に重要な部分です。
それ以外にも免疫を担当する細胞を発達させたり、活性酸素を除去する補酵素としての役割もあります。
亜鉛は抗酸化作用にも関与していることから、風邪などの病気にかかりにくい身体作りには必須のミネラルです。
心を穏やかにする
亜鉛は脳の大脳皮質や海馬、扁桃体なんかに存在していて、ホルモン放出や神経の伝達にも影響しています。
情動や記憶、ストレスコントロールと関係している部分に亜鉛が存在していることからも、精神的安定と関係していることがわかります。
また、亜鉛と銅は正常の状態だと体内バランスがうまく取れているのですが、亜鉛が不足して銅の体内比率が高くなることでイライラなどの情動変化が起こりやすくなるといわれています。
銅は欠乏することが少ないとされているため、亜鉛不足により銅が活躍しすぎてしまうことの方が問題かもしれません。
身体だけでなく、心にも亜鉛は重要だったんですね。
亜鉛は1日にどれくらい摂取すればいいか
日本人における1日の亜鉛の推奨摂取量は
- 女性・・8mg
- 男性・・11mg
とされています。
参考:日本人の食事摂取基準
では、今はどのくらいの亜鉛を日本人は摂取しているのでしょうか。
1日の亜鉛の摂取量
- 女性・・7.7mg
- 男性・・9.2mg
ちょっと足りていませんね。
不足する原因
亜鉛の必要量が増えるのは
- 成長期
- 妊娠
- アルコール摂取時
このようなときに必要とする量が増えます。
また、亜鉛が身体から失われる原因として
- 汗
- 皮膚の脱落
- リーキーガット症候群
このような原因が考えられます。
リーキーガット症候群とは腸のバリアが崩れた状態のことです。ストレスだけでなく砂糖、アルコール、カフェイン、グルテンなども原因とされています。
動物性タンパク質の不足、ファスティング、ポリリン酸やフィチン酸といった添加物、アルコールなど不足する原因となるものは色々と考えられます。
どれも過度な状態にならなければ大丈夫なのですが、不足しているというデータから見ると食事が十分に取れていない、もしくは偏っていることが想像できます。
亜鉛の1日の摂取上限量
日本のサプリメントは海外のサプリメントと比較すると、それぞれの栄養素の含有量が低くなっています。
そこで、海外のサプリメントをアイハーブなどから個人輸入する人が増えていますが、過剰摂取には気をつけたいところです。
どの栄養素でもそうですが、過剰に摂取すれば健康が増進されるわけではなく、逆に身体に害となってしまいます。
亜鉛も同じです。
亜鉛の1日の摂取上限量としては
- 女性・・30〜35mg
- 男性・・40〜45mg
とされています。
血清亜鉛基準値としては80〜130μg/dl
亜鉛の過剰摂取により吐き気やHDLコレステロール低下、下痢などの症状出現の他、前立腺がんのリスクも上がるとの報告もあるそうです。
ただ、この上限量も1日の活動レベルによって変わってきます。
実際には血液検査やオリゴスキャンなどで現在の亜鉛レベルを測定してみると正確なのですが、一般的には活動レベルが「ふつう」かと思いますので、上記の上限を目安にするのが良いでしょう。
まずはタンパク質量から見直す
亜鉛に限らず何かサプリメントを摂取するときは、まずタンパク質が十分に取れているか見直してみましょう。
土台となるタンパク質を十分にとった上で、亜鉛などサプリメントを摂取すると健康増進の効果が期待できます。
おわりに
今回は亜鉛という栄養素をみてきました。
健康や美容を考えるとビタミン類やポリフェノールなどのフィトケミカルに目がいってしまいますが、実はミネラルも非常に重要な栄養素だったんですね。
その中でも亜鉛は健康面だけでなく美容、精神状態にまで関係していました。
栄養不足になると身体、美容、精神、色々なところに影響が出てきます。
今の自分の生活習慣ではどの栄養素が不足しやすいのか、しっかり調べてから食事やサプリメントで補っていきたいものです。