昼寝後に動悸がする原因と対策を考える

昼寝をしたあとに心臓がドキドキしたように感じたことはありますか?

私自身、何度かこの経験があるのですが、いきなり心臓がドキドキすると心配になりますよね。

昼寝は上手に取り入れると、疲労回復や集中力の向上などに役立つことが知られているのですが、人によっては目覚めたあとに動悸したり、頭がぼーっとしたりといった症状を感じることがあります。 

こうした症状の多くは、睡眠から覚醒するときに体の働きが切り替わる過程で起こる、一時的な変化だと考えられています。

一方、動悸のなかには心臓の病気など、医療機関での診察が必要な場合もあります。

そこで今回は

  • 昼寝後に動悸が起こる仕組み
  • 寝すぎるとなぜスッキリしないのか
  • 病院を受診した方がいい症状
  • 昼寝を上手に取り入れるポイント

このようなことを考えていきたいと思います。

なぜ昼寝のあとに動悸がするのか

私たちの体は眠っている間と起きて活動している間で、自律神経の働きが大きく変化します。

自律神経には主に交感神経と副交感神経という2つの働きがあり、活動するときには交感神経が働きやすく、休むときには副交感神経が働きやすくなっています。

昼寝中も副交感神経の働きが高まり、心拍数や血圧は活動しているときより低下する傾向があります。

昼寝から覚醒すると今度は体を活動モードへ切り替えるため、交感神経の働きが高まってきます。

この切り替えをするときに心拍数や血圧が変化するため、人によっては心臓がドキドキしていると感じることがあります。

つまり昼寝後の動悸は、心臓そのものの異常ではなく、睡眠から覚醒する過程で起こる生理的な変化による場合があります。

もちろん、すべての昼寝後の動悸が生理的変化だけとは限りませんが、短時間で自然と動悸が落ち着いて胸の痛みや息苦しさなどがない場合は、生理的な変化である可能性があります。

自律神経の乱れとは少し違う

昼寝後の動悸について調べると、自律神経の乱れという説明を見かけることがあります。

自律神経の働きは確かに関係しているのですが、乱れているというよりは、睡眠から覚醒へと切り替わるために自律神経が働いた結果、一時的に心拍数の変化を感じると考えた方が、現在の生理学的には正しいかと思います。

そのため、動悸が数分くらいで自然と落ち着き、痛みや息苦しさなどなく普段どおりに活動できるのであれば、過度な心配は必要ありません。

もしも動悸が長いこと落ち着かず、胸の痛みや息苦しさなどを感じる場合はなにか別の原因が隠れている可能性があるため、早めに病院への受診をおすすめします。

寝すぎると動悸やだるさが起こりやすい理由

昼寝は上手に取り入れるとそのあとスッキリと活動できるのですが、長すぎると体のだるさを感じることがあります。

これはなぜなのでしょうか?

このような症状には、睡眠慣性という現象が関係しているといわれています。

睡眠慣性というのは、目が覚めても脳や体がすぐに活動モードへ切り替わらず、一時的に眠気やだるさなどが残ってしまう状態のことです。

朝起きたときに感じるぼんやりした感覚も、昼寝のあとに感じるぼーっとした感覚も、睡眠慣性による現象と考えられています。

睡眠は、浅い眠りと深い眠りを繰り返しています。

昼寝が長くなると、深い眠りであるノンレム睡眠へ入りやすくなります。

この深い眠りの途中で目が覚めると、脳はまだ活動モードに切り替わっていません。

そのため、頭がぼーっとしたり体がだるく感じたりといった睡眠慣性が起こりやすくなります。

また、目が覚めると体は活動モードへと切り替わるため、自律神経や心拍数にも変化が起こります。

この変化に睡眠慣性が合わさることで、人によっては心臓のドキドキを普段よりも強く意識してしまい、動悸がしていると感じることがあります。

睡眠慣性そのものが動悸を引き起こすわけではありませんが、睡眠から覚醒への切り替えがスムーズにいかないことで、体の変化を自覚しやすくなる可能性はあると考えられます。

昼寝の目安は15〜20分くらい

昼寝は長ければ体にいいというわけではありません。

一般的には、昼寝は15〜20分程度が目安とされています。

それ以上長くなると、深い眠りであるノンレム睡眠に入りやすくなり、目が覚めたあとに睡眠慣性が起こる可能性が高くなります。

昼寝は15〜20分くらいを目安にすると比較的スッキリ目が覚めて、そのあとの活動もしやすいかと思います。

夕方近くまでの長時間となると、夜の睡眠に影響する場合があるのは言わずもがなですね。

あらかじめアラームを設定しておくのもいいかもしれません。

※睡眠慣性が起こるタイミングには個人差があり、昼寝に最適な時間については現在も研究が続けられています。

病院を受診した方がいい症状

昼寝のあとに感じる動悸は、睡眠から覚醒するときの体の変化による一時的なものがほとんどです。

数分くらいで自然と落ち着き、そのあとも普段どおり生活できるのであれば過度な心配はいりません。

しかし、なかには心臓などの病気が隠れている場合もある、ということは知っておいた方がいいかと思います。

次のような症状があるときは病院を受診するようにしてください。

  • 動悸が長時間続く
  • 昼寝の長さに関わらず、毎回起こる
  • 胸の痛みや圧迫感がある
  • 息苦しさ、呼吸がしにくい
  • めまいや失神をともなう
  • 脈が極端に速かったり、不規則だったりする

このような症状がある場合、不整脈や狭心症などの病気が隠れている可能性があります。

また、強い胸の痛みや冷や汗、失神などを伴う場合は速やかに病院を受診してください。

昼寝のあとの多くは一時的なものですが、もしも普段と違う気になる症状があるなと感じたときは、自己判断せずに相談することが大切です。

ここからは、リラックスを目的としたセルフケアとして、おすすめのツボをご紹介します。

セルフケアのツボ「内関」

リラックス目的としておすすめなのが内関というツボです。

内関は手首の内側のしわから指3本分ほど肘側にあるツボで、東洋医学では精神的な緊張を和らげるツボとして使われています。

ここを親指で5〜10秒ほどゆっくり押し、ゆっくり離します。

これを数回ほど繰り返してみてください。

セルフケアでのツボ押しのポイントとしては、ギューっと強く押すのではなく、ちょっと気持ちいいと感じる強さで押すのがポイントです。

もちろん、内関を押したからといって動悸そのものが改善するとは限りませんが、リラックスする時間を作るセルフケアの一つとして取り入れてみるといいかと思います。

まとめ

昼寝のあとに動悸がすると不安になるかと思います。

しかし、多くの場合は睡眠から覚醒するときの体の変化や睡眠慣性が関係していると考えられています。

繰り返しになりますが、昼寝のあとに動悸を感じても、数分程度で落ち着き、そのあと普段通りに生活できるのであれば過度に心配する必要はありません。

もしも胸の痛みや息苦しさを感じたり、長時間動悸が続いたり、普段とはちょっと違うなと感じた場合は自己判断せずに医療機関へ相談することが大切です。

昼寝には疲労回復や集中力の向上など、メリットが多くあります。

ただし、長時間の昼寝は睡眠慣性や夜の睡眠への影響につながることもあるため、15〜20分程度を目安に取り入れることがポイントです。

昼寝を上手に取り入れて、午後の活動を気持ちよく過ごしていきましょう。

参考文献

睡眠慣性についてまとめた総説
Hilditch CJ et al. Sleep inertia: current insights. Nat Sci Sleep(2019) PMID: 31692489

短時間の昼寝と睡眠慣性についてまとめた記事
Hilditch CJ et al. A review of short naps and sleep inertia: do naps of 30 min or less really avoid sleep inertia and slow-wave sleep? Sleep Med(2017) PMID: 28366332

睡眠から覚醒する時の生理学的変化をまとめた記事
Ruby P et al. From physiological awakening to pathological sleep inertia: Neurophysiological and behavioural characteristics of the sleep-to-wake transition. Neurophysiol Clin(2024) PMID: 38394921

動悸で受診すべき症状について
National Health Service (NHS) Heart palpitations

e-ヘルスネット(健康日本21)「眠りのメカニズム」

e-ヘルスネット(健康日本21)「快眠と生活習慣」

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