更年期とうまく付き合うためにできること

更年期という言葉に対してネガティブなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

ホルモンバランスの変化から体への影響も現れやすい時期ですし、仕事や子育てなどライフステージにも変化が起こりやすく、今までとはちょっと違う自分を体感しやすい時期です。

しかし、更年期という変化が多い時期をただただネガティブなまま生活していくのは、ちょっとどうなのでしょう。

世間にはいまだに更年期をネガティブキャンペーンのごとく悪者にして、それに立ちむかうお助けアイテムのように自社商品をアピールする健康関連の広告が存在します。

更年期以降もパワー溢れんばかりに活動している人が多いにも関わらずです。

ネガティブな印象ばかり植えつけて、足を引っ張るんじゃないよ!と言ってやりたいですね。

そんな広告を鼻で笑ってやるためにも、更年期の正体を知ってやろうじゃないか。

といっても、体に変化があるのは事実。

そこで今回は「更年期とうまく付き合う」というテーマでお送りします。

この記事の概要
  1. 更年期とはなにか、閉経とはなにか、症状にはどんなものがあるのかをみていきます。
  2. 体の専門的な話に移り、加齢によってどのように体が変化しどのようなことになるのかをおさえます。
  3. 更年期の成り立ちを知ったうえで最後に対処法を考えていきます。

なかなか盛りだくさんな内容になっておりますが、一緒に更年期のあれこれについて勉強していきましょう。

更年期っていつから始まるの?

個人差が大きいため厳密にいつからというのは決められませんが、閉経がおとずれる45歳〜55歳までのおよそ10年間を更年期といいます。

およそ45歳〜55歳までの10年のうちに女性の体は閉経という変化がおとずれ、それと同時にホルモンバランスも変化します。

その結果、体と心にも今までとは違う感覚があり、その影響の大きさによっては治療が必要になる場合もあるのが更年期という期間です。

そして、変化があるのは体だけではありません。

45歳〜55歳という期間は、周囲の社会的環境も変化が現れやすい期間でもあります。

更年期に影響をあたえる3つの要因

ちょうど更年期とよばれる年齢のとき、変化があるのは体だけではなく

  • 仕事で責任が強い立場になっている
  • 親の介護
  • 子どもの成人、一人立ち

などなど、仕事や生活にも変化が現れやすい時期なのではないでしょうか。

つまり更年期は体の変化だけでなく、とりまく環境の変化もあるイベント盛りだくさんな時期でもあるのです。

そのようなこともあり、更年期にあたえる影響には3つの要因があるといわれています。

今までとは違う体の感覚や心の感覚、そのような感覚の違いが症状となって現れるのがこれから勉強していく更年期症状とよばれるものです。

そんな更年期に影響をあたえる要因には

  • 体の変化
  • 性格によるもの
  • 周囲の環境

この3つの要因が存在することを覚えておくと、対処法を考えるときのヒントになるかと思います。

更年期=障害とは限らない

「更年期障害だー、更年期障害だー」とよくいいますが、必ずしも更年期=障害というわけではありません。

更年期に現れる多種多様な症状の中で,器質的変化に起因しない症状を更年期症状と呼び,これらの症状の中で日常生活に支障を来す病態を更年期障害と定義する。

引用:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020

うーん、漢字が多くてちょっとわかりにくい。

つまり更年期において

  • 体の組織自体の異常ではない症状のことを「更年期症状」
  • 更年期症状が日常生活に支障をきたすレベルだと「更年期障害」

と、定義されています。

細かいなあ、なんて思うかもしれませんが、あっさりと「障害」という言葉からネガティブな方に引っ張られる場合もあるので、ここはおさえておきましょう。

障害=ネガティブな言葉か、という問題はここでは無視します。

どうなったら更年期障害?

ここでは『更年期と加齢のヘルスケア学会』の勉強会で紹介された診断基準をご紹介します。

年齢や日常生活に影響が出ているかどうかは自分でもわかる部分ですが、ほかの部分は医師の判断によるものですので「へー、そうなんだ」くらいで大丈夫です。

『産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020』でもホルモンの測定は参考程度にとどめて包括的に評価することが大切だとあるように、更年期障害の診断は数値だけみて判断されるものではないということですね。

さっき出てきた、更年期は体の変化だけじゃなく3つの要因がある、というやつです。

閉経にも定義がある

それでは、じわじわと専門的な体の話に移っていきましょう。

まずは更年期の中心的な変化となる「閉経」についてです。

閉経?はて、生理がこなくなったらではなくて?

はい正解です。

でも、正確にはもうちょっと補足が必要です。

「閉経」とは、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。月経が来ない状態が12ヶ月以上続いた時に、1年間を振り返って閉経としています。

引用:日本産科婦人科学会 更年期障害

突然ドドンと生理がこなくなるのではなく、約28日の周期が乱れたり無排卵月経があったりしながら、だんだんと生理がこなくなっていきます。

そうこうしているうちに生理がこなくなり、その状態が1年続いたら閉経ということです。

閉経がおとずれるのは、おおよそ平均すると50歳だといわれています。

そして、閉経を迎える50歳前後でホルモンバランスの変化があり、体にさまざまな影響をあたえる可能性が出てきます。

ちなみに可能性があると遠回しな表現をしたのは、更年期におけるさまざまな症状は個人差が大きく、まったく変化を感じない人もいるからです。

とはいえ、閉経によるホルモンバランスの変化は本当にさまざまな症状が現れる可能性があります。

次は、そんな更年期に現れる症状についてみていきましょう。

多彩すぎるぞ更年期の症状

更年期に現れる可能性がある症状は、本当に多彩です。

しかもそれらの症状が合わさって現れたりするもんだから、施術者としてはじっくりお話を聞いてみないとわからない。

また、前述した更年期にあたえる3つの要因(体の変化・性格・環境)も絡みあっていて、ホルモンバランスによる影響なのかストレス過多なのか、はたまた別の病気が隠れているのか鑑別も必要になります。

単純に年齢だけ考えて「更年期だからですねー」と呑気に片付けてはいけません。

と、施術者としての考えはおいといて、具体的にどんな症状が現れるのでしょうか。

など、ですからね。

「なんだかだるいし頭も痛い、肩はこるし最近寝つけない。検査したけど原因がハッキリしない。」

このように多彩な症状があるのに原因となる病気がわからないものを、不定愁訴といいます。

更年期の症状はまさにこの不定愁訴。

ただこの不定愁訴という言葉がちょっと曲者で、不定愁訴という病気があるわけではなく医師が「あ、これは不定愁訴だな」とみなすことで存在する不思議な言葉です。

「先生、不定愁訴がつらくて・・」なんて病院で言いませんよね。

ここもつらい、あれもつらい、ついでに眠れないなど訴える症状が多くなるほど不定愁訴といわれますが、その多彩な症状のなかから原因となる病気を除外していかなければなりません。

これがまた難しい。

更年期障害の診断基準のなかにも器質的疾患の除外というものがあります。

検査をして体の組織そのものに病気がないか確認をし、なにもない場合は更年期による影響を疑います。

「まあ私も年齢的に更年期だから、最近つらいのはそのせいかな」と自己判断せずに婦人科に相談した方がいい理由がなんとなくみえてきましたでしょうか?

不定愁訴について深掘りする

興が乗りましたので、ちょっと不定愁訴について深掘りを。

不定愁訴については内科医である國松淳和先生の著書『内科で診る不定愁訴』が内科医ではないぼくでもわかる最高の一冊でしたので、こちらを参考にさせていただきます。

あれこれつらいところがたくさんあれば不定愁訴というわけではなく、不定愁訴が成立するためには以下の3つの要素があるとされています。

  • 時間
  • 分布
  • 程度

この3つが存在することで不定愁訴が成り立ちます。

たしかに数時間前から突然だるくなった、痛くなったとかなら体のどこかでアクシデントが起こっている可能性が高いですし、「ここが痛いです」と場所がわかるならまずはそこの異常を疑います。

我慢できないほどのつらさなら救急車ですね。

このように、時間・分布・程度の3つの要素から少しでも外れると不定愁訴とはいえなくなります。

更年期においても症状が多彩だからといって「はい、更年期による不定愁訴だ」となるのは早合点。

ちょっと脅かすような話になってしまいますが、更年期に起こる多彩な症状のなかには別の病気が隠れている可能性があることも覚えておいてください。

どうでしょう、つらいときは一人で我慢せずに相談した方が良さそうな感じしませんか?

この一人で悩まないっての、かなり大事なポイントですのでしつこくお伝えします。

更年期において鑑別が必要な病気

じゃあ更年期障害と区別しなきゃいけない病気ってなにがあるの?という疑問も思い浮かぶかもしれませんが、いろいろあるのでここはサッといきましょう。

検査も必要ですし、診断は専門医におまかせということで。

鑑別が必要な病気
  • 精神科疾患(気分障害・統合失調症・不安障害など)
  • 内科疾患(甲状腺機能障害・肝機能障害・腎機能障害・心機能障害・高血圧症など)
  • そのほか(腰痛症・メニエール病など)

ほんと、いろいろですね。

卵巣機能の低下で減少するものたち

まだまだ専門的な話が続きます。

閉経はただ生理がこなくなるということではなく、卵胞数や、それまで分泌されていたホルモンにも影響があります。

原始卵胞

加齢により卵胞数は減少していきます。

更年期の始まる45歳頃から減っていくのかと思いきや、生まれたときからだんだんと原子卵胞数は減っていくようです。

で、その減り方が加速するのが閉経を迎える前のおよそ40歳〜45歳あたり。

卵胞数も途端になくなるのではなく、段階を経て減少していきます。

加齢による卵巣機能の変化
  1. 36歳頃からエストロゲンが低下
  2. 37歳頃から卵胞数が急速に低下
  3. 41歳以降、妊娠率が著しく低下
  4. 50歳頃で閉経

女性ホルモン

加齢による卵巣機能の低下で更年期症状を引き起こす原因ともなるのが、女性ホルモンの低下。

とくに体調と大きく関わってくるのがエストロゲンという女性ホルモンの低下です。

いろいろな働きをするエストロゲンですが、そのピークは20歳〜30代前半で、その後は少しずつ減少していきます。

30代に突入すると「年齢的に更年期はまだ早いんだけど、なんだかだるいんだよねー」といったような体の変化を感じることがあります。

これがプレ更年期とよばれるものです。

まだ更年期を考えるのは早いですが、30歳になったらエストロゲンのピークを迎えるため、少しずつ体に目を向けるようにしてみると気持ちも楽かもしれませんね。

エストロゲンの低下で気をつけたいこと

体調と大きく関わるエストロゲンというホルモン。

では、具体的にどういった働きがあるのでしょう。

多彩です。

こうして見てみると、生殖器以外の作用もたくさんありますね。

エストロゲンがピークを迎える30歳以降、これらの働きに変化が現れます。

更年期を理解する上でエストロゲン低下による病気のリスクは外せません。

そこで、更年期以降で特に気をつけたい2つのリスクについてご紹介します。

脂質異常症による動脈硬化

エストロゲンには血液の流れをよくする働きがあります。

これは、エストロゲンにはLDLコレステロールを減らしてHDLコレステロールを増やす働きがあるからです。

LDLコレステロールは悪玉コレステロールなどとヒール役のような名前がつけられていますが、肝臓から細胞膜などの材料になる脂(コレステロール)を全身に運ぶお仕事をしています。

つまり、体にとっては必要な脂質。

しかし、増えすぎてしまうと全身に運ばれる脂の量が多くなり、血管の壁にベタベタと脂がくっついてしまい動脈硬化の原因となってしまいます。

そこで活躍するのがHDLコレステロールです。

HDLコレステロールは増えすぎた脂を肝臓に戻すお仕事をしていて、血管の壁にくっついてしまった脂も取り除くため、動脈硬化を予防する働きもあります。

LDLコレステロールとHDLコレステロール、そのバランスが大切ということです。

卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌も低下するとLDLコレステロールが増えやすくなり、脂質異常症から動脈硬化のリスクが高まります。

更年期が近くなってきたらぼちぼち食生活を気にしたいのは、このような動脈硬化のリスクが高まるという理由からです。

骨粗鬆症

「骨を強くするためにはカルシウムだー、カルシウムをとれー」とよくいわれますが、土台となる骨基質とよばれる部分がしっかりしていなければ、カルシウムが骨にうまくついてくれません。

骨基質はコラーゲンやリン酸カルシウムなどから作られます。

エストロゲンにはコラーゲンの合成を促す働きがあることから、骨基質をつくる作用があります。

また、カルシウムを効率よく吸収するためにはビタミンDが必要なのですが、エストロゲンにはビタミンDが体内で作用するのを助ける働きもあります。

本当に多彩なエストロゲン。

ちなみに人間の皮膚には日光にあたることでビタミンDを作る力があります。

どのくらいの日光浴が必要なのか、安田聖栄先生の著書『診療で必ず役立つビタミンの知識』を見てみると

日光浴は週2回、日中の5〜30分間、腕と脚程度で十分とされる。長時間の日光浴でも生成されるD3には上限があり、ビタミンD生成には適切な日光浴が一番よいとされる。

引用:『診療で必ず役立つビタミンの知識』安田聖栄

だそうです。

安易にサプリメントで補給せずとも、ちょっと外に出れば事足りそうですね。

ただ、在宅が多くなった現状を考えるとどうか。

サプリメントについては、また後ほどみていきたいと思います。

ホルモンバランスの乱れと自律神経の深い関係

イライラしやすくなったりやる気が出なくなったり、更年期にはたくさんの症状が現れる可能性があります。

検査をしてもほかの病気が隠れていなかったのに、なぜこんなことが起こるのでしょうか。

ここでは、脳とホルモン分泌の関係からその原因を探っていこうと思います。

拝啓、視床下部さま

加齢により卵巣機能が低下すると、女性ホルモンであるエストロゲンも低下していきます。

エストロゲン低下による影響は、エストロゲンの多彩な働きが低下していくだけではありません。

エストロゲンというホルモン分泌をコントロールしている脳にも影響があります。

その影響があるのが、脳の視床下部という部分です。

視床下部が司るもの
  • ホルモン分泌のコントロール
  • 自律神経の統合中枢
  • 体の生理機能の管理

 

体は自律神経によってさまざまなバランスをとっています。

ホメオスタシスなんて言葉を聞いたことがあるかと思いますが、病理医ヤンデル先生の言葉を借りるなら「ホメオスタっているなら健康。ホメオスタれなくなると病気」というやつです。

普段どおりの健康な自分でいるためにはホメオスタシスが重要。

そのホメオスタシスに大きく関わる部分の一つが、自律神経の中枢である視床下部です。

ホルモン分泌はややトップダウン型

卵巣から分泌される女性ホルモン、エストロゲン。

エストロゲンは卵巣が勝手に分泌しているのではなく、脳によってコントロールされています。

エストロゲン分泌までの流れは以下のとおり

エストロゲン分泌の流れ
  1. 視床下部から脳下垂体へGnRHという指令ホルモンを分泌する
  2. 脳下垂体からFSHとLHという卵巣に働きかけるホルモンを分泌する
  3. 卵巣から女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が分泌される

 

GnRHなど、ちょっと見慣れないホルモンの名前が出てきましたが、部下に出す指令のようなものです。

ここからの話は会社に例えるとイメージしやすいかと思うので、それぞれに役職をあたえてみます。

  • 視床下部=部長
  • 脳下垂体=課長
  • 卵巣(各臓器)=一般社員

こんな感じ。

この会社、どちらかというとトップダウン型を採用しています。

エストロゲンに限らずホルモン分泌にはフィードバック機構というものがあり、各臓器からホルモンが十分に分泌され血中濃度が上がると、視床下部や脳下垂体はホルモン分泌にストップをかけます。

もう十分だろう、といった具合に。

上司である視床下部や脳下垂体はパワハラ放題のブラック上司ではないので、部下をずっと働かせるようなことはしません。

十分に仕事をしてくれたら「はい、もういいですよー」と言ってくれるわけです。

人体は各臓器(一般社員)にストでも起こされたらホメオスタれなくなりますからね、上司は部下思いでないといけません。

実際、各臓器はホルモン分泌以外にもたくさんの仕事があるので働きっぱなしです。ありがとうございますといいましょう。

※より詳しくは「フィードバック機構」で検索。

卵巣機能低下でパニクる上司たち

さて、36歳頃から少しずつ卵巣機能は低下していきエストロゲンの分泌も低下していきます。

すると何が起こるか。

上司たちは「あれ、おかしいぞ」と疑問を持ち始めます。

それもそのはず、今までは視床下部がGnRHを分泌し、脳下垂体がFSHとLHを分泌、つまり上司が指令を出せば卵巣からエストロゲンとプロゲステロンが分泌されていたのに、十分に分泌されない。

「あれ、おかしい、一般社員たちが働いてくれない」

そう思った視床下部と脳下垂体は卵巣に「どうしたんですかー、女性ホルモン出してくださいねー」とさらに指令を送るようになります。

ここでついに、ホルモンバランスの乱れという問題が発覚します。

社内不和、軋轢、納期の遅れ。

卵巣機能が低下しフィードバック機構に変化が生じると、視床下部と脳下垂体の上司たちからの「出せぇ」が強まります。

このことを専門的にいうと「エストロゲンによるフィードバックが弱まり視床下部からのGnRH、脳下垂体前葉からのFSH・LHが上昇する」となります。

閉経が近くなってくるとE2分泌低下、GnRHとFSH・LHの上昇といったホルモン値の変化が現れます。

ちなみにここまでの数行は深く考えなくて大丈夫です。

ぼくも産婦人科医ではないので実際に測定したことはありません、勉強しただけです調子にのりました。

話を戻すと、つまり上司たちがパニクるわけです。

自律神経や情動を司っている視床下部もパニクるわけです。

「あれ、なんでだ」と。

さらにFSHやLHといったホルモンも上昇することから自律神経に影響し、更年期は多彩な症状が起こる可能性があるとされています。

今までとは違う状態なのですから、混乱も起こりますよね。

職場と同じで、適応にはちょっと時間がかかるのです。

これがホルモンバランスの乱れによって起こりうる更年期症状のメカニズムです。

また、更年期に影響をあたえる要因は3つありましたね。

ここで紹介した体の変化に加え、性格によるもの、周囲の環境も影響してきます。

ホルモンバランスだけが原因とはいいきれず、さまざまな要因があることからつらいのなら一人で抱え込まず、相談することが大切です。

しつこくお伝えします。

SMIで自分の状態を知る

自分が今どのくらい更年期による影響を受けているのか、簡易的にチェックする方法があります。

それがSMI(簡略更年期指数)。

これは10個の質問に答えて自分は更年期障害の治療が必要なのかどうなのか、判断する一つの材料になるものです。

※画像にてSMIの紹介をしますが、下記のサイトで簡単にチェックできます。

エンジョイエイジング

それぞれの項目の点数の合計値によって、おおよそ今、自分がどのような状態なのか知ることができます。

SMIの点数による状態目安
  • 0〜25点・・異常なし
  • 26〜50点・・食事と運動に注意
  • 51〜65点・・更年期外来を受診
  • 66〜80点・・長期間の計画的治療
  • 81〜100点・・各科の検査、長期の治療

40点以上が更年期、80点を超えるとほかの病気も考える目安になります。

また、質問1〜4はエストロゲンの低下で感じやすく、この部分だけ点数が高い場合はHRT(ホルモン補充療法)でよくなる可能性が高いとされています。

質問5〜10は環境や器質に影響するもので、全体的に高い場合はカウンセリングや漢方などと組み合わせての治療をする場合が多いそうです。

あくまでも目安ではありますが、自分がどのくらいの状態なのか簡単にチェックすることができるので、産婦人科を受診する前にでもチェックしてみることをおすすめします。

対処法を考える

ここまで更年期の症状やホルモンバランスの変化、チェック方法を見てきました。

なにかの対処法を考えるとき、まずはそのものの成り立ちを知ることで選択肢が増え、道筋が見えてくるものです。

「剣を抜くためには形と真と理を知る必要がある」とどこかの薬売りさん(CV櫻井孝宏)が言っていましたが、対処法を考えるときも同じような感じです。

体の情報を仕入れるときはその理を調べてみると、意外と理解できたりしますのでおすすめです。

さて、更年期の形と真と理はなんとなくみえてきましたね。

今度はその対処法についてです。

対処法についてはいろいろありますが、大前提として更年期における症状が日常生活において支障が出ていたり、SMIの結果が51点以上の場合はまずは婦人科を受診するようにしてください。

更年期の相談ができる病院はQLIFEというサイトから検索することができます。

更年期障害が相談できる病院

また、SMIの結果が51点以上でなくとも気になるようでしたら受診することをおすすめします。

まちがってもSNSなんかでおすすめされている商品には手を出さないようにしましょう。

前置きが長くなりましたが、対処法についてどんなものがあるのかみていきます。

HRT(ホルモン補充療法)

卵巣機能の低下により女性ホルモンが低下するのなら、少量の女性ホルモンを外部から補おうというのがHRTです。

あくまでも少量の補充ですので、20代のあの頃に戻れるとかそういったものではありません。

HRTの目的
  • 更年期による症状を緩和する
  • 骨粗鬆症や動脈硬化などの病気の予防
  • 健康増進

※症状の緩和目的の場合は健康保険の適応になります。

 

『病気がみえる婦人科・乳腺外科第4版』においても、更年期障害の治療にはHRTが第一選択とあります。

では、HRTとはいったいどんなお薬なのでしょうか。

まずはその形状。

HRTには飲み薬、貼り薬、塗り薬があります。

で、これらのお薬をその人に合わせた投与方法で使います。

うーん、細かい。

HRTを使用するとなった場合、詳しくは医師から説明がありますので、ここでは「へー」くらいにとどめておいてください。

ちなみにエストロゲンと黄体ホルモンが合わさったお薬もあります。

女性ホルモンを補うことで起こる出血が気になる場合は作用の弱いエストロゲンに切り替えることもあるそうなので、このあたりも医師と要相談です。

出血するといっても生理ではないので、閉経している場合は妊娠しません。

気になるのは、HRTを使うことでの乳がんリスクの上昇です。

HRTではよくピックアップされますが、5年以内ならほとんど考えなくていいレベルのようです。

2008年の日本人女性を対象とした大規模調査では、EPTは乳癌のリスクを高めず、更年期障害に対しての使用はデメリットよりもメリットの方が大きいという結果が示された。

引用:『病気がみえる婦人科・乳腺外科第4版』

EPTとはエストロゲンと黄体ホルモンの併用投与法のことです。

HRTを使う場合は定期的に検査をしますし、乳がんのリスクよりもそのほかのメリットの方が大きいのが事実。

あまりにもリスク上昇が大きいものは考えものですが、微々たるリスクを過大評価し、メリットを受けとる機会を逃してしまうことは冷静な判断とは言い難いものです。

さて、HRTは更年期においてメリットの大きい対処法にはなるのですが、全員が受けられるわけではありません。

HRTが受けられない人
  • 冠動脈疾患(心臓の病気)
  • 重い肝臓の病気
  • 乳がん、乳がんの既往
  • 脳卒中
  • 腎臓病
  • 原因不明の性器不正出血
  • 子宮体がん
  • 血栓症
  • 妊娠の疑いがある

 

また、高血圧やタバコを吸っている人などはHRTの使用において注意が必要です。

更年期の対処法として第一選択となるHRTですが、血液検査をして医師の判断においてHRTの治療を開始するかどうか判断されます。

まずはお近くの婦人科に相談してみましょう。

更年期の相談ができるお近くの病院は、QLIFEというサイトから検索することができます。

更年期障害が相談できる病院

漢方薬

医師の判断によっては漢方薬が処方されることがあります。

ここでは、更年期障害でよく使われる代表的な漢方を3つご紹介します。

と、その前に少しだけ東洋医学用語の補足を。

簡単ですが、こんなところでしょうか。

それでは紹介していきます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
  • 虚証タイプ向け
  • 血虚、瘀血、水滞などに適応
  • 冷えやめまい、神経痛など幅広く対応
  • 胃腸が弱い人は腹痛や下痢などの可能性がある
 
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
  • 虚証タイプ向け
  • 血虚、瘀血、水滞、気逆などに適応
  • イライラや不眠、肩こりなど幅広く対応
 
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
  • 中間証タイプ向け
  • 瘀血、気逆などに適応
  • 赤ら顔やのぼせ、下腹部の張りなどに対応

この3つが更年期においての代表的な漢方といわれています。

HRTと組み合わせて漢方が使われる場合もあるため、もしかしたら処方されるかもしれません。

漢方は副作用のないイメージですが、漢方とてお薬、副作用が出る可能性はあります。

もし飲んでみて調子が悪くなるようであれば担当医、もしくは薬剤師に相談しましょう。

生活習慣の見直し

出ました、生活習慣。

「出たよ生活習慣の見直し。それじゃあお酒もタバコもやめて甘いものも控えめにして、有機野菜とか良好な環境で育てられた豚とか食べてればストレスフリーの健康体になれるんかい?え?」

そんなことも叫びたくなりますが、それで必ず健康になれるかはわかりません。

オーガニックで健康にいいとされる食事をしていても体調を崩すことはあるし、ぼくの親戚のおばあちゃんで90代半ばまで元気にヘビースモーカーしていた人だっているわけです(タバコが大丈夫ということではない)

残念ながら100%ってないんですよね。

それでも現在のいろいろな情報から判断して、ストレスフリーな健康体のリスクとなるものは排除した方がいいし、その方が快適にすごせそう。

というわけで、書籍や参考になりそうなサイト、個人的経験から「こういうのいかがでしょう?」を紹介します。

お酒とタバコ

お酒は毎日飲むものじゃありませんでした(経験談)

ハイボールにしろ焼酎にしろ、毎日飲んでいたら疲れが抜けないし運動してても痩せない。

食事に気をつけていても毎日飲んでいたらダイエットはかなり難しいです。

どのくらいなら適量なの?を考える前に毎日飲んでいる人は抜く習慣を身につけましょう。

タバコはいろいろな病気のリスクが高すぎなのでNG。

HRTをする前に禁煙が先です。

食事

食事の内容ですが、これは調べれば調べるほど沼です。

「米は食べるな。いや食べろ」

「動物性タンパク質より植物性だ。いやいや植物性はスコアが低い」

「糖質制限こそ最強。体調不良で会社休んだ」

SNSなんか見てしまうと、それはもう地獄のありさま。

ということでここは一つ、極端な方法はしないということで考えてみます。

「〇〇がいい!」にすぐ飛びついたりサプリに頼りきってしまったり、そういうのはNG。

そんななかで、こんなのはいかがでしょう。

食事を考える
  1. 寝る前の食事は避ける
  2. 成分表示をチェックする癖をつける
  3. 水分補給でジュースを飲まない
  4. お腹の調子が悪くならなければプロテインを取り入れる
  5. 更年期以降、日光を浴びる機会が少ないなどの場合は少量のビタミンDサプリを取り入れる

さらにシンプルに考えると

  • 食べすぎない、食べる時間を気にする
  • 砂糖や脂が入っている量を気にする
  • サプリメントは最小限、少量から試す

まずはこのあたりから食事習慣を考えてみてはいかがでしょうか。

運動

更年期の運動習慣の確立は、その後の40年にわたる壮年期と老年期のQOL向上の基礎となる重要な事項(中略)

引用:『理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法』上杉雅之 監修

QOLとは生活の質や人生の質といった意味です。

まさにこれです。

ぼくは高齢者に鍼灸マッサージをする機会もあるのですが、やはり元気な人は少なからず体を動かしています。

運動というとゼェハァつらいことをイメージしますが、そうではありません。

ここでいう運動とは、長く健康でいられる可能性を上げるものをいいます。

更年期以降、エストロゲン低下による影響で特に気をつけたいのが

  • 糖代謝の低下
  • 脂質代謝の低下
  • 骨密度の低下

この3つです。

糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症といった病気は避けたいところ。

そこで更年期という転換期に運動習慣を身につけてしまおうではないか、という提案です。

なんだか安っぽい軍師みたいで士気は高まらないかもしれませんが、本当に運動は健康において大切な要素です。

まず始めたいのがウォーキング。

厚生労働省が発表している健康日本21で推奨していることが、1回30分以上の息が少しあがる運動を週2回行うことです。

また、米国スポーツ医学会の骨粗鬆症予防のための運動指針では、階段昇降やジョギングなど骨に負荷のかかる運動を1回30分〜60分、週3〜5回を推奨しています。

ここに筋トレを含むと、なお良いとされています。

更年期以降のQOLの観点から考えると、骨盤底筋トレも高いエビデンスがありますので取り入れることをおすすめします(女性下部尿路症状診療ガイドライン第2版より)

また、厚生労働省のアクティブガイドプラス10も参考になりますので、ご覧になってみてください。

アクティブガイドプラス10

トレッドミルで歩く場合、アニメを2話見れば40分なんてあっという間です。

いかがでしょうか。

鍼灸とマッサージ

ぼくの本職なのでここは猛アピールを!といきたいところですが、まだまだ研究段階の鍼灸。

エビデンスも質のいいものがないのが現状ですが、アメリカの補完代替医療研究機関NCCIHでも、鍼灸で更年期障害におけるほてりを軽減させるのか、研究が検討されているとのことで注目されている分野かと思います。

では、東洋医学的には更年期をどう見るのか。

教科書ベースでの紹介をしようかと思いましたが、東洋医学用語のオンパレードでわけがわからなくなりそうなので簡単にイメージを。

閉経が近くなるにつれ生命の根源である臓腑の取りまとめ的存在、腎が弱まってくるとほかの臓腑(肝とか心とか)を抑える力も弱まり、気が上に昇ってのぼせたりイライラしたりします。

また、そこに冷たいものの取りすぎなどで冷えがあると脾という部分も弱まり、冷えの症状だけでなく疲れやすかったり元気が出なかったりといった症状が現れます。

東洋医学的な更年期障害の見方としては、このようなイメージでしょうか。

これに対してそれぞれ対応するツボに鍼灸を使って治療をしていくのですが、たぶん流派などによって方法は違ってくる可能性が高いのでこれ以上はご勘弁を。

このような点もエビデンスが取りにくいといわれる理由です。

とはいえ、個人的経験からも更年期症状の一つである血管運動神経の症状(ホットフラッシュやのぼせなど)に対しては効果のある可能性を感じます。

ただし、HRTや漢方も併用しているので、鍼灸だけによって落ちついてきたとは言い難い状況です。

西洋医学的には筋緊張緩和や慢性腰痛などの痛みの緩和をとおしてリラックス効果を促すことで、更年期における不定愁訴緩和にもつながるかと思います。

これは適切なマッサージにおいても同様です。

と、長々と説明してしまいましたがHRTや漢方と併用して鍼灸マッサージも定期的に利用するとなかなか体は楽になりますよ、ということをお伝えしてここは終わります。

失礼いたしました。

リラクゼーションマッサージ

ここでいうマッサージとは、リラクゼーションを目的とした施術

  • アロママッサージ
  • ボディケア
  • 整体
  • ヘッドスパ
  • リフレクソロジー

などのことをいいます。

無資格、有資格の問題はひとまず無視です。

このようなサロンで気持ちのいい施術を受け、ゆったりとした時間を過ごすことはとても心身にとって効果的なことだと考えています。

更年期で体の変化もあり自律神経のバランスが乱れやすいうえに、さらに仕事のストレスまであると交感神経の高ぶりから不定愁訴が強くなる可能性が考えられます。

そこで、気持ちのいい施術です。

心地のいい空間に落ちつくBGM、いつもと違ういい匂い(うちの店だこれ)

施術者と気が合い、話がしやすいならなおのこと良しです。

やたらと効果を主張するサロンもありますが、そこは置いといて自分の直感で「なんかいい」と思ったサロンには定期的に訪れてみてください。

更年期をどう捉えるか

今回は更年期と呼ばれるおよそ45歳〜55歳でどのように体が変化し、どのようなことが起こりうるのかをみてきました。

エストロゲンの低下により起こりうる更年期症状、その後の病気のリスク、対処法。

もしかするとネガティブに捉えてしまうかもしれません。

それはそれでいいと思います。

でも、もしも更年期において体にどのような変化があるのか知らなかったらどうでしょう。

あれこれ調べて、さらに不安におそわれるかもしれません。

ここまで読んでいただいて、更年期がなんたるかはだいたい見えてきたかと思います。

おそらく男性よりもハッキリと体の変化を感じることができる女性の更年期。

あとはどう行動するか。

少しずつ、ストレスフリーを目指してみてはいかがでしょうか。

もしも一人で悩んでいるのなら、まずは一人で抱え込まないことから始めてみてください。

誰かに相談する、これが大切。

おわりに

ぼくは男性です。

女性の更年期と状況は異なり、男性の更年期の環境要因はまた違ったものがあるかと思います。

おそらく、体感するとしたら女性よりも遅れて更年期の症状を感じるでしょう。

とはいえ、体の変化は女性も男性もあります。

個人差が大きいのも同じ。

人間生きていれば体も変わるし、考えも変わります。

もしかすると今よりやさしくなれるかもしれないし、周囲に中指立ててまわるかもしれません。

その人の人格を形成するような考え方の変化って、それまで見てきたものや得られた知識によって左右されるんじゃないかと最近思います。

自分の心が穏やかであれる方向に進んでみてください。

なんの話だ。

スピっぽくなりそうなのでこのあたりで終わります。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

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