マッサージと整体の違いとは?安全なお店の選び方を解説

今回はあまり知られていないマッサージと整体の違いについてです。

おそらく一般的なイメージでは

  • マッサージ・・・リラクゼーション目的の心地良いもみほぐしサービス
  • 整体・・・肩こりや腰痛といった、なんらかの症状を緩和する医療行為

このようなイメージではないでしょうか?

これ、逆だったんです。

ちょっと詳しく、法律上の観点からみていきましょう。

マッサージとは?国家資格が必要な医療行為

手で人の体に触れて押す・揉むなどの手技を使い、体の不調の緩和や健康維持を目的に行われるのがマッサージです。

正確には「あん摩・マッサージ・指圧」とそれぞれ別の手技になりますが、ややこしくなるためこの記事では「マッサージ」という言葉で統一したいと思います。

肩こりや腰痛といった不調の緩和からリラクゼーションにいたるまで、幅広く対応できるのがマッサージです。

また、筋麻痺や関節拘縮などの症状の場合は医師の同意があれば健康保険も適応することができます。

では、マッサージを通して人の役に立ちたい、お仕事にしたいと思ったときすぐに始められるのでしょうか?

じつはマッサージを仕事にする場合、あん摩マッサージ指圧師という国家資格が必要だったんです。

あん摩マッサージ指圧師になるためには

まずは厚生労働省・文部科学省が指定している3年制の専門学校や4年制の大学に入学する必要があります。

高校を卒業した者で入学試験に合格すれば入学することができ、そこで3年間か4年間、基礎医学や専門科目をしっかりと勉強します。

 『学校で学ぶ主な科目』

  • 解剖学
  • 生理学
  • 運動学
  • リハビリテーション医学
  • 公衆衛生学
  • 病理学
  • 臨床医学総論・各論
  • 東洋医学
  • 経絡経穴学
  • あん摩マッサージ指圧理論
  • 関係法規

などなど

上記のような座学に加え、もちろんマッサージの実技の授業もあります。

このようなことを学び、それぞれの学校での卒業試験を経たのち国家試験に合格すれば、はれてあん摩マッサージ指圧師としてマッサージをお仕事にすることができます。

いかがでしょうか。

マッサージを仕事にするには意外と大変なんだということがわかるかと思います。

肩こりや腰痛など体の不調に対してマッサージを行うのですから、当然といえば当然ですね。

【参考文献】
厚生労働省 あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師(通称:あはき師)について

整体とは?資格のいらない施術と問題点

では、整体とはいったい何なのでしょうか?

整体は日本の法律上、国家資格の制度は存在しません。

また、整骨院や接骨院で行われる柔道整復は別で、整体は法律上の定義がありません。

つまり今日からでも整体師を名乗って整体をお仕事にすることができるわけです。

民間資格を取得できる整体の学校というのも存在しますが、国から定められているカリキュラムは存在せず、個人で勉強した範囲での知識となるため安全面での不安が残ります。

ちなみにあん摩マッサージ指圧師の資格を持っている場合、「整体」という言葉を使うことはあはき・柔整広告ガイドラインで禁止されています。

【参考文献】
令和7年 あはき・柔整広告ガイドラインの概要

「整体」という言葉ができたのは昭和18年に野口晴哉の「野口整体」が語源だといわれています。その後、昭和23年にあん摩マッサージ指圧と鍼灸に関する法律「あはき法」が施行されました。

公的な資格がないことの問題点

解剖学など知識の公的な証明がないため、施術を受けるには健康上のリスクが考えられます。

実際に資格がない者からの施術を受け、2017年度には過去最多となる302件の被害報告が国民生活センターに報告されたそうです。

【参考文献】
公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会 無資格・無免許問題に関して。

当店をご利用のお客さまのなかにも資格がない者からの施術を受けて、「首の骨を鳴らされてしばらく腕が痺れていた」「もみ返しがすごかった」など健康被害の経験がある人が何名かいらっしゃいました。

もちろん、あん摩マッサージ指圧師の資格を持っているからといって、そのような健康被害が起こるリスクがまったくないというわけではありませんが、マッサージを受けたい場合はあん摩マッサージ指圧師による施術を受けた方が安全性は高いでしょう。

また、無免許者によるマッサージ店の経営では逮捕者も出ているようです。

【参考文献】
薬事法ドットコム 施術情報 エステ・整体・セラピー・カイロ・マッサージが医師法、あはき法、薬事法違反に陥らないために

マッサージ店を選ぶときのポイント

日本ではあん摩マッサージ指圧・鍼灸師の業務に関する法律(通称:あはき法)があり、医師以外の者がこれらを行うと罰せられる可能性があります。

そのため、あん摩マッサージ指圧師の資格を持っていない場合は「整体」や「〇〇マッサージ」「ボディケア」といった言葉を使い、メニュー化しています。

「マッサージ」という言葉を使うと処罰の対象となる可能性があるからです。

体の不調の緩和が目的ならマッサージ

肩こりや腰痛といった体の不調を緩和したい場合、基本的にはあん摩マッサージ指圧師によるマッサージが受けられるお店を探しましょう。

リラクゼーションが目的の場合でも、マッサージの国家資格を持っているため安全性は高いでしょう。

 『お店を選ぶポイント』

  • 骨をポキポキ鳴らすような危険な行為を行なっていない
  • 病院で受けられる標準治療を否定していない
  • SNSなどで科学的根拠から外れすぎていることを発信していない
  • 「〇〇医師推奨」のような明かな広告違反をしていない

また、理学療法士・鍼灸師・柔道整復師といった医療系の国家資格を持っている者の施術も、資格を持っていない者と比較すると安全性は高いと思います。

ただし、あん摩マッサージ指圧師以外の者がマッサージを行うことはあはき法により処罰の対象となる可能性があるため、今後の法改正の動向に注意が必要です。

リラクゼーションが目的であれば整体やボディケア

ゆったりリラックスしたいという目的であれば、整体やボディケア、ヘッドマッサージなんかも心地良くて癒されますよね。

 『お店を選ぶポイント』

  • あん摩マッサージ指圧師が在籍している、または指導がある
  • 「〇〇が改善」などの効果をうたっていない
  • 「肩こり」「腰痛」など何かの症状に対してアプローチしていない

※あはき・柔整広告ガイドラインの改定などの動きもあり、今後は無資格者に対する取り締まりが厳しくなる可能性があります。

おわりに

まだまだグレーゾーンの多いマッサージ業界ですが、あはき法改正の動きもあり今後は是正されていくことが予想されます。

マッサージのお店を選ぶ際、まずはホームページなどでどのような人物が施術を行なっているのか、確認してから利用するようにしてください。

施術を受けるときには目的と内容だけでなく、その施術者の資格や法的位置づけにも目を向けることが、ご自身の健康を守るうえでとても大切になります。

こちらの記事を読んで、少しでもマッサージと整体の違いを理解していただけたら幸いです。

【参考文献】
学校法人浪越学園 日本指圧専門学校 国家資格取得で堂々としたセラピストになろう!

関連記事

PAGE TOP