片頭痛の原因と鍼治療の可能性について

ズキズキと脈を打つように痛みが起こる片頭痛。

発作が強い場合は動くのもつらく、生活に支障が出る人も少なくありません。

また、痛みのほかに光や音に過敏になったり、吐き気が起こったり、片頭痛といっても症状はさまざまです。

当店でも頭痛を訴える人は多くいらっしゃいます。

頭痛というと、筋肉のこりや血流の問題というイメージを持たれるかもしれません。

もちろん、筋肉のこりや血流が関係する頭痛もあります。

しかし、片頭痛はそれだけではなく、脳や神経の働きが関係しているといわれています。

今回は片頭痛とはどんな頭痛か、発作はなぜ起こるのか、鍼治療は片頭痛に対して有効なのかをみていきたいと思います。

どのような状態が片頭痛なのか

片頭痛の症状は痛みだけではありません。

一般的な片頭痛の特徴としては

  • 脈打つような痛み
  • 頭の片側に痛みが出やすい
  • 立ち上がったり階段を登ったり、身体を動かすと悪化する
  • 吐き気をともなう
  • 光や音に過敏になる

このような特徴があります。

また、人によっては発作が起こる前に視界がキラキラする閃輝暗点というものが起こることがあります。

頭痛の診断基準が示された国際頭痛分類第3版(ICHD-3)をみてみましょう。

前兆のない片頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版:ICHD-3,2018)
A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛発作の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C. 頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす  
①片側性 ②拍動性 ③中等度~重度の頭痛 ④日常的な動作(歩行や階段昇降)などにより頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目をみたす
① 悪心または嘔吐(あるいはその両方)② 光過敏および音過敏
E. ほかに最適なICHD-3の診断がない

引用:一般社団法人 日本頭痛学会

このような診断基準となっています。

もちろん個人差があるため、実際に頭痛外来などで評価を受けることが大切です。

片頭痛はなぜ起こるのか

以前は血管が広がって神経を圧迫することで痛みが起こると考えられていましたが、最近ではそれだけでは説明できないことがわかってきています。

  • 三叉神経の興奮
  • 脳や神経の過敏性
  • 炎症物質の放出

これらのことが複雑に関係していると考えられています。

なんらかの原因で三叉神経からCGRPという神経伝達物質が放出され、神経のまわりで炎症のような反応が起こる。

その信号が脳へと伝わり、痛みとして知覚されるというのが大まかなメカニズムです。

最近では、このCGRPをターゲットにした薬も開発され、片頭痛に対する研究は進歩しています。

今後に期待ですね。

脳が過敏になる状態

片頭痛の前兆を引き起こす脳の神経活動の異常として、皮質拡延性抑制というものがあります。

この興奮が三叉神経を刺激し、CGRPなどの神経伝達物質が放出されることで片頭痛の発作につながるのではないかともいわれています。

血流が悪いから、肩がこっているからという単純なものではありません。

脳や神経が過敏になっている状態として考えられるようになってきています。

私も以前、片頭痛がありましたが、確かにちょっとした刺激でも過敏に反応していたかもしれません。

睡眠不足との関係

片頭痛の場合、寝不足で頭痛がしたり、逆に寝過ぎても頭痛がしたりします。

過度なストレスなどにより睡眠のリズムが乱れることも、片頭痛に関係していると考えられます。

また、そのような場合は無意識に身体に力が入ってしまうことも関係しているでしょう。

そのため、頭痛だけでなく、身体全体の緊張状態や生活習慣も含めてみていくことが大切なのかもしれません。

片頭痛に対する鍼治療

まず最初にお伝えしておくと、鍼灸やマッサージだけで片頭痛が治るとはいえません。

ただ、実際に片頭痛を訴える方に鍼灸やマッサージをしていて反応が良いと感じることはあります。

では、最近の研究ではどういう結果が出ているのでしょうか?

鍼治療を受けたグループでは改善傾向

2026年のJAMA Network Openという医学誌に、片頭痛に対する鍼治療の研究が掲載されました。

この研究では前兆のない片頭痛の患者さん120名に対して、実際に鍼治療を行なったグループと、偽の鍼治療を行なったグループで結果を比較しています。

使われた鍼は直径0.25〜0.30mmの鍼で、8つのツボに対しズーンと響くような感覚をともなう施術方法が行われました。

偽の鍼治療では別のツボに対し、響かないよう浅めの施術方法が行われました。

ちなみに当店で主に使用する鍼が直径0.20mmですので、研究で行われた方法はちょっと刺激が強めかと思われます。

さて、結果ですが、実際の鍼治療を受けたグループでは頭痛の強さや頻度、日常生活への影響などに改善の傾向がみられたとのことです。

このことから片頭痛に対する鍼治療は、補助的な選択肢のひとつになる可能性があると考えられています。

参考
Xinyu Zhang, et al. Acupuncture for Migraine Without Aura and Connection-Based Efficacy Prediction. JAMA Netw Open(2026)
doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.55454

鍼治療は片頭痛に対するひとつの選択肢

個人差もありますし、鍼をすれば片頭痛は治るとはいえませんが、補助的に鍼治療を行うのは片頭痛治療に対しひとつの選択肢となる可能性はあります。

  • 発作の頻度や程度
  • 日常生活への影響
  • 病院での治療の有無
  • 薬の種類や服用頻度

当店ではこのようなことをお伺いし、鍼治療にマッサージも組み込んで施術をしています。

これは私の感覚ですが、発作が多い場合でも処方されたお薬と併用して施術をすると、比較的良い結果が出るなと感じています。

ただし、まずは医療機関で適切な診断や治療を受けることが大切です。

その上で鍼灸やマッサージも受けてみると、いいかもしれませんね。

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