疲労と疲労感は違う?休んでも回復しない理由

今回のテーマは「疲労」についてです。

  • 疲労と疲労感の違い
  • 休んでも回復しない理由
  • 現代人はなぜ疲れやすいのか
  • 疲労に対する鍼灸マッサージの可能性

このようなところをみていきたいと思います。

疲労とはなんなのか?

まずは疲労の定義からみていきましょう。

日本疲労学会では疲労を次のように定義しています。

疲労とは、過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた、独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である
引用:日本疲労学会 抗疲労臨床評価ガイドライン

  • 長時間歩いて足がだるい
  • 勉強しすぎて頭が回らない
  • 仕事が終わって身体がだるい

このような状態です。

また、これらの状態は気分の問題ではなく「これ以上、頑張りすぎると危ないですよ」という身体からのサインでもあり、ケガをしたときの痛みや風邪を引いたときの発熱などと同じで、身体の状態を一定に保とうとするホメオスタシスの一つでもあります。

疲労には筋肉だけでなく、脳や自律神経、免疫なども関わっているといわれています。

疲労感とは疲れたと感じる感覚

ちょっとややこしいですが、疲労と疲労感は違うものです。

疲労とは、過度の肉体的・精神的活動、または病気による身体の活動能力の低下のことをいいます。

一方、疲労感とは、疲れたと自覚する感覚のことをいいます。

たくさん活動してかなり疲れているはずなのに自覚がない人や、とくに異常はないのにすごい疲れを感じる人もいます。

つまり、疲労と疲労感は必ずしも一致するわけではありません。

その理由として、疲労感にはストレスや不安感、睡眠不足や自律神経などさまざまな要素が関係しているからと考えられています。

検査をしても異常はないのにずっとしんどい、というのはさまざまな要素が関係しているからだったんですね。

脳が休みにくい現代人

最近よく「脳疲労」という言葉を目にします。

脳疲労という言葉は正式な医学用語ではありませんが、集中力の低下など頭の疲れ、だるさを感じる状態を表す言葉として使われています。

そんな脳疲労の原因として考えられるのが、情報処理の多さです。

  • 仕事で長時間のパソコン作業
  • スマホでSNS
  • たくさんの広告
  • 動画やゲーム

などなど、気がつけばいつも大量の情報に触れています。

ぼーっとする時間が脳の休息時間になるのですが、ちょっとした時間があれば、ついスマホを見てしまいます。

その蓄積が、脳疲労と呼ばれる状態に関係している可能性があると考えられています。

スマホがない時代と比べると、情報量の多さはすごいですよね。

参考
Shahrzadi L, et al. Causes,consequences, and strategies to deal with information overload: A scoping review.International Journal of Information Management Data Insights(2024)
https://doi.org/10.1016/j.jjimei.2024.100261

Qin C, et al. Too much social media? Unveiling the effects of determinants in social media fatigue.(2024)
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1277846

休んでいるのに回復しないのはなぜ?

週休2日で、休日はしっかり休んでいるのに疲れが抜けない。

このような人もよくいらっしゃいます。

もしかしたら身体は休めていても、脳が休めていないのかもしれません。

とくに、一日中スマホでSNSや動画などを見ている場合は可能性が高そうです。

一見リラックスしているようにも感じますが、脳では大量の情報処理を続けています。

そのため「休んでいるのに回復しない」ということが起こります。

また、仕事などで長期間のストレス状態から交感神経が優位になり、うまく休めていない可能性も考えられます。

  • 呼吸が浅い
  • 首肩に無意識に力が入る
  • 食いしばりがある
  • 胃腸の調子が乱れやすい

これらの状態は、交感神経が優位かもしれません。

力が抜けにくくなる

日々頑張り続けて疲れている人ほど、交感神経が優位になる傾向があるなと、施術をしていて感じます。

施術中に「力を抜けますか?」と聞くと「え?力入っていますか?」と驚かれることもよくあります。

頑張り続けて長い期間、緊張状態が続くとそれに慣れてしまい、力が入っていること自体に気づきにくくなるのかもしれませんね。

また、疲労感だけでなく、肩こりや腰痛、頭痛、なかなか寝付けないといった症状にもつながることがあります。

これらの症状は長時間の同じ姿勢による筋肉の硬さだけでなく、オフモードに切り替えにくくなった状態も関係しています。

軽い運動は回復になる

疲れているときは寝て休息。

それも正しいのですが、軽く運動することも疲れを軽減することに役立ちます。

とくにデスクワークなど身体を動かしていない場合の疲れに対しては、軽く動いた方が回復しやすいです。

  • ウォーキング
  • 軽めの筋トレ
  • ストレッチ

いろいろと運動方法はありますが、とくに軽く息が上がる程度の有酸素運動は回復にもってこいの運動です。

ここで大切なのは、頑張りすぎないこと。

ボディメイクではなく、目的は疲労回復です。

20分〜30分、ほとんど運動習慣がない人の場合は5分の運動でも、健康に対して良い効果がある可能性があるといわれています。

参考
厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023

Christopher Bergland. Exercise Snacks: Get Fitter in Just Minutes a Day. Psychology Today(2025)

鍼灸マッサージでできること

鍼灸やマッサージでできることは筋肉をゆるませることだけではありません。

  • 痛みの緩和
  • 眠りやすい身体づくり
  • 身体の力を抜けやすくする
  • 呼吸が楽になる

などなど、多岐にわたります。

では、今回のテーマである疲労に対してはどうでしょうか?

2022年の研究では、鍼灸が慢性疲労症候群の疲労感や生活の質の改善に役に立つ可能性があると報告されています。

また、2019年の研究でも鍼灸によって疲労症状の改善がみられたという報告があります。

この点に関しては、まだはっきりと「鍼灸は疲労に対して効果があります」と言い切れるものではありませんが、実際に施術後に「元気が出た」「身体の力が抜けた」などのお声もあり、少なからず関係はあるのかなと、施術をしていて思います。

食事・睡眠・運動といった基本的なところの見直しも大切ですが、ずっと頑張り続けている身体をリセットする時間として、鍼灸やマッサージは有効なのではないでしょうか。

鍼灸やマッサージを、休める身体作りのサポート役として、ご活用いただければと思います。

参考
Yang F, et al. Acupuncture and moxibustion for chronic fatigue syndrome: A systematic review and network meta-analysis. Medicine (Baltimore)2022
DOI: 10.1097/MD.0000000000029310

Zhang Q, et al. Acupuncture for chronic fatigue syndrome: a systematic review and meta-analysis. Acupuncture in Medicine(2019)
https://doi.org/10.1136/acupmed-2017-0115

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